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院長ブログ

  • 花粉症の季節

    花粉症の季節がやってきましたね。今年は花粉が多いらしい。

    うちのクリニックに来る患者さんに、花粉症でクシュンクシュンしている人、多いです。

    症状と好みに応じて、内服薬、点鼻薬、点眼薬、漢方薬などを処方いたします。

    国民病といえるほど患者数も多く、花粉症の薬もたくさんあります。よく知られている処方薬を挙げていくと、アレグラ(フェキソフェナジン)、ジルテック(セチリジン)、ザイザル(レボセチリジン)、タリオン(ベポタスチン ベシル酸塩)、アレロック(オロパタジン)、クラリチン(ロラタジン)、デザレックス(デスロラタジン)等々、抗ヒスタミン剤でひとくくりにされる薬剤にこんなにブランドがあるとは・・・、改めてびっくりします。

    kahun
    さて、花粉症は異物にたいする体のアレルギー反応の一種ですが

    最近は果物アレルギーも持っている人が増加しています。

    花粉のアレルゲンと果物のアレルゲンが似ていて、シラカバやハンノキの花粉に含まれるPR-10と呼ばれるタンパク質は、リンゴやナシ、サクランボなどにも含まれていて、このような果物で口の中にアレルギー反応が起こります。

    イネ科の雑草にはメロンやスイカなどの果物と共通するタンパク質がありこれがアレルギーの原因となります。 トマトはスギ花粉と類似する物質があり、トマトで発症する人もいます。

    猫の毛が体につくとアレルギー反応が起こるという人もおります。

    ピアスの金属でアレルギーが出る人も。

    ゴムの成分の ラテックスに反応が強く出る人だと、男ではコンドームがつけられない、女性ではつけてしたときにヒリヒリかゆいそうです。

     

    医療機関では患者が入院するとき、薬でアレルギー反応がないか質問があります。

    問診する看護師はそのあたりはちゃんと聞いてくれるので、医師は助かるのですが、

    しかし、念入りに調べるので変わった食べ物のアレルギーまで記載してくれ、驚かされることがあります。

     

    マツタケでアレルギーが出ると聞いたときには(なんて贅沢な)と思いましたが

    アワビやイクラで出る人もいます。

     

    変わったところでは、

    北京ダックを食べたときだけ、ものすごいアレルギーが出たんです」と教えてくれる人がいた。

    鶏肉では大丈夫だが、なぜか北京ダックを食べるときだけアレルギーが出るという。

    自慢げにそういうことを言っていた人もいました。
    シャネルの香水でアレルギーが出るとか、ディオールで出るとかいう人もその後出てきましたが、

    私には一度も嗅いだことも触ったこともなく、アレルギーになりようもない。

  • がんけんしん いろいろ

    がんけんしん」と聞くと、行かなければならないけど なんとなく面倒・・・

    と感じる人多いと思います。

    婦人科の「がん検診」はいろいろなガンの中でも有効性が高い、がんを早期発見することで、健康に過ごせる可能性が高くなる検査の一つです。

    ぜひやりましょう。

    ここでいう婦人科の「子宮がん検診」とは、専門的にいうと「子宮頸部細胞診(しきゅうけいぶ・さいぼうしん)」のことを指します。子宮体がん(内膜がん)についての検査もありますが、スクリーニングとしての有効性のエビデンスはありません。

    さて、子宮がん検診、いろいろなやり方があります。

    検査の主体を大きくわけると会社の検診か住民検診があります。費用を自己負担でする人間ドックの方もいます。

    「細胞をとって、ガンがないか判断する」のは共通ですが、エコー(超音波)を併用するものと しないものがあります。

    エコーを使うことで、触診だけではわからない情報(卵巣が腫れているとか 子宮筋腫の有無)などがわかるので、私のクリニックではエコーを併用します。

    触診だけのものより精度が高い。

    バス検診と呼ばれるものもあり、遠隔地でのがん検診に利用されます。一度に数多く調べる検診の場合、スピードを優先するあまり、検査のときに痛みを感じることがあります。

    子宮の入り口を見るための膣鏡も、Lサイズ、Sサイズとサイズの違うものをそろえているがん検診もあれば、一サイズしかなく人によっては痛みを感じることがあります。

    調べる人が若い医者とか、アルバイトの医者とか、経験が少ないと、検査の時に痛みを感じさせることがあります。

    自分で膣の内容を取って細胞診の検査に出す職場の検診もありますが、精度が低いのでお勧めしていません。

    婦人科検診は下半身を見せるので、恥ずかしいと感じられるかもしれませんが、検査している方からすると、痛みを与えずにかつ正確で早く検査を終えることに集中しているので、誰のお尻だったかなど考えている余裕はありません。

    私自身、よっぽどのことがない限り、がん検診を受けた人が誰なのか、関心ないのですが、長い経験の中には、ぎょっとするような人にも出会ったことがあります。

    太ももの裏側ぜんたいに、「滝を登る鯉」の入れ墨(タトゥー)を入れていた人がいて、膣鏡を持ったまま、ぎくっとして手が止まってしまいました。

    知人の婦人科医に聞いた話では、小陰唇にピアスをしていた人がいてビックリしたそうです。

     

     

     

     

     

  • 春は春巻き。 

    春といえば、春巻き。

    春巻きといえば ベトナム料理ですね。

    harumaki

    昔、私はベトナム語を勉強したことがあります。

    以前私が勤めていた神戸の病院にはベトナム人の患者がたくさん来ていたので、
    ベトナム語を習得してみようと思い立ったのです。

    たまたま近くにベトナム語教室があり、 ベトナム人の中年のおばさんが講師でした。

    ベトナム語は中国語の派生語ですがアルファベット表記。

    中国語には「四声」と言って同じ
    「ma」
    の発音が4種類あったりするが、ベトナム語になるとさらに6種類の発音に分けられるという。

    日本人には苦手なV(ヴイ)の発音やkhの発音、

    8種類以上ある母音の発音など、真似が難しいです。

    ベトナム語の最初は発音練習ばっかりでした。

    それでも私はうれしくて、病院の診察室で覚えたてのベトナム語を、ベトナム人の患者に向かって

    「はじめまして、お会いできてうれしいです。」

    「あなたはお元気ですか。」 と練習がてらに使っていました。

    (病気できているんだから元気なわけないやろ!)

    と思ったのか患者はあきれ顔でした。

    全然上達しないベトナム語講座ではありましたが、ある日

    「私は**が好きです。」
    という表現を覚えました。

    先生が私に何か例を出すようにというので、私はつい、

    「私はベトナムの春巻きが好きです。」

    と言った瞬間 おばちゃんのベトナム語教師の目の色が変わりました。

    「アナタ、どの春巻きのこと?ベトナムの春巻、16種類あるの知ってた?」

    ベトナムの春巻きには、蒸し春巻き、生春巻き、焼き春巻き、揚げ春巻きをはじめとして16種類もあるのだそうで、それぞれに呼び方が違う。

    料理好きのベトナム語教師のおばちゃんはその時から 延々とベトナム料理について話を始めました。

    コリアンダーの育て方から、食事の時間などなど・・・

    とうとうベトナム語教室の後半一時間は授業そっちのけでベトナム料理の話に終始してしまいました。

    その後ベトナム語学習は途中で挫折しましたが、おばちゃんの、料理にかける情熱が今でも忘れられません。

    春巻をみると、目の色をかえて料理の説明をしてくれたあの、ベトナム人のおばちゃんを思い出す。

    春といえば、春巻き。

  • チョコはチョコっと食べる

    バレンタインデーの時期も過ぎてしまいましたが、贈ったり贈られたりしましたか?

    先日のニュースで、「養殖のブリにチョコを食べさせると味が良くなる」と報道がありました。

    冗談かと思いましたが、考えてみるとカカオは強い抗酸化作用があるわけで、その成分で、肉の日持ちがよくなるのでしょう。

    ポリフェノールを多く含み健康に良いというのは認知されていて、私も積極的に口にするのですが、一方で糖質の摂りすぎはよくないともいわれます。

    では高カカオチョコが良い、となるのですが、いろいろ食べてみると70%以上の高カカオチョコは、あまり楽しく食べれません。某会社の95%のチョコなんて、苦行以外の何者でもない・・・と思いますが、苦行が好きな人が多いようでいまだに売られています。

    やっぱり甘いほうがおいしいですよね。

    私は寒い時期になるとなぜかチョコが食べたくなり、スーパーに買い物行ったときに ついで買いをしてしまいます。しばらく経つと健康診断で糖質の取りすぎが気になり、虫歯も気になる、という悪循環です。

    婦人科の診察で、「おなかの中にチョコレートがあるといわれた」という患者がいますが、チョコレートのう胞という卵巣の病変があります。

    子宮内膜症の病変がチョコレート状になっているためにそう呼ばれるのですが、以前、摘出したチョコレート嚢腫のデジカメ画像をプリントシールに印刷して配っていた患者がいました。

    あまり見て楽しくないはずです。

    内膜症には「ブルーベリー・スポット」という病変の名前もあるのですが、これもおいしそうに見えて、あまり喜ばしくないものです。

     

     

  • 妊娠判定

    妊娠出産する人を応援するために、最近いろいろ補助金が出てきました。

    妊娠がわかったら5万円、生まれたら5万円、という補助が出るようになりました。

    さらには、妊娠検査薬を使うのに補助を出す自治体も出てきています。

    今ではどこの薬局でも売っている「妊娠検査薬」ですが、その歴史は比較的浅いです。

    50代の私が医者になったばかりの頃に普及してきました。(1990年代)

    それまでは、一般の人は、妊娠したかどうかわからないので、妊娠しているかどうか知るために産婦人科を受診する人も多かったのです。

    妊娠していないのに、吐き気がするので妊娠だと思って産婦人科にかかった、とか太っておなかが大きくなったのを妊娠と勘違いして産婦人科にかかったという人も多かったのです。

    想像妊娠」という病名も一般的で、自分が妊娠したと思い込んでしまう非妊婦の人もいました。

    90年代よりずっと以前、1930年代にフリードマンという医学者が、妊娠したときの化学物質を研究していたのが妊娠検査の原点です。何年かして、

    ヒトの尿をメスのウサギの耳に注射してウサギに排卵が起こることを発見しました。注射後2日にウサギのおなかを開けて卵巣から排卵していることを確認するという方法です。カエルに妊婦の尿を注射して、射精が観察されることもその後発見されました。

    検査につかわれたウサギはどうなったのか、詳しくはわかりませんが、近隣の古老の(80代の)産婦人科医の話では、ウサギのおなかを開けた後は、その晩の食事はウサギ鍋だった、という話を聞きました。現代と違って大変な手間だったわけです。

  • 富士山の日

    2月23日は令和から天皇誕生日になりましたが、この日は「富士山の日」としても知られてます。

    2月23日だから「富士山(223)の日」。

    これも最近(2009年)に制定されたばかりで、語呂あわせで無理やり名付けている感は否めません。

    ジョークとしても気温も さむーぃ です。

    「静岡に来れば富士山が見える」と思っている県外の人は多いですが
    私の住んでる磐田からでは、住人の7割は「見えない」と思います。

    私の妊婦健診の仕事の中で富士山を例えた話を出すことがあります。

    エコーの検査で「男の子か女の子か、わかりますか?」 という妊婦さんからの質問をいただいた時です。

    妊婦さんのご家族にとっては重大な情報ですが、いずれはっきりしてくることなので、今すぐ結論を出すことではないとお伝えしています。

    妊娠の早い時期だと見間違える可能性も高いので、所見があいまいな時には
    「どうでしょうねえ、はっきりしませんね」と即答を避けます。

    それでも
    「19週だったらもうわかりますよねえ」 と食い下がってくる人がいます。

    そういう人には
    「磐田にいれば富士山が見えると思いますか?」

    と質問させていただきます。続けて、

    「わかることもあれば、はっきりしないこともあります。妊娠19週だと磐田から富士山を探すようなもので、はっきりしないことも多いのですよ」

    と説明すると納得してもらえることが多いです。

    妊娠25週→掛川市

    妊娠30週→静岡市から富士山を探すくらいでしょうか。

    35週になったら富士市。雨の日は雲に隠れて富士山が見えないこともあります。

  • ゴリラの帝王切開

     

    産科の手術といえば帝王切開は知っていますね。

    もしかしたら、帝王切開は人だけにするもの、と思われているかもしれませんが、

    帝王切開は牛や豚、犬でも行います。

    何年か前に、イギリスの動物園でゴリラの赤ちゃんが帝王切開で生まれた、というニュースがありました。

    ただし執刀したのは産婦人科の医者だったとか。

     

    gorilla_a07

    ヒトを診る医者がゴリラの帝王切開をするとしたら稀なこと。

    他の動物と違って、ゴリラは体が人間と似ているので、帝王切開じたいはやりやすいかもしれない。

     

    帝王切開はよく行われる手術です。対象を選んで、油断しなければ、安全に行うことができます。

    ちょっと知っている人は「シーザーの時代からあった手術(cesarean section)だから、昔からよく行われていたんだね」

    という人もいますが、俗説らしい。

    近世まで帝王切開による死亡率は高く、1860年代に術後死亡率は85~92%だったという記録があります。

    1882年にSangerという人が子宮の傷を縫うことを提唱して、術後死亡率は50%前後になりました。

    帝王切開はつい最近まで「放っておけばたぶん死ぬ」人だけにたいして行われていたのです。

    いろいろな理由で帝王切開の分娩の割合は上昇しています。

    日本ではまだ、医学的な必要性がある人だけに帝王切開を勧めていますが、

    世界で帝王切開率が最も高い(50%近く)のブラジルをはじめとして、アメリカ、中国でも

    「お産の痛みを感じなくて済むから」

    「帝王切開のお産は”高級なお産”と考えられているから」

    「帝王切開をすることによって、利益を得たいという病院側のインセンティブ(動機)がある」

    「医者が訴訟になるリスクを回避するため」

    「産後の膣の締まりが保たれるから、性感を損なわない」

    「運勢の良い日に産ませたい」

    というような要因があって、広く行われるようになっています。

    経膣分娩を良しとする日本の文化は、先進国の中ではかなり特異な方です。
    さて私も、動物を使って手術をしたことがあります。

    内視鏡の練習のために、生きたブタを使わせてもらったことがあります

    (1回40万円!自分の持ち出しはありませんでしたが)

    豚の皮膚は人間より柔らかく、子宮は人間と違って二つあります。

    カメラで見ながら、電気メスで腹膜を焼いていると・・・

    焼き豚の匂いがしました。

     

     

     

  • ハンドウォーマー

    まだまだ寒い時期ですね。

    「手の冷たい人は心が暖かいのよ」

    若い頃、私の手が冷たいのを申し訳なく思っている時に、ある年上の女性から言われた言葉です。

    冷え性で悩んでいる方はいませんか? 婦人科に相談に来る患者さんは冷え性で困っている方も多くおられます。

    原因はいろいろですが、病院にかかる前に自分でできることをチェックするとよいです。

    食べれてる?」「休めてる?」「運動できてる?」の3つです。

    食事のカロリーが十分でないと、代謝が落ち、末梢の冷えが生じます。寝不足があると末梢の血管が収縮して冷えを感じるようになります。運動不足だと循環が悪くなります。

    診察で話を聞いていると、上記のどれかが欠けていることに気が付いていない人が意外と多い。

    私は自分の手が冷えていても、つらいと感じたことはないですが、冬季にクリニックで仕事をしていると、キーボードの入力するので、指先が冷たくなります。

    妊婦健診などで患者さんの肌に触れるときに、(冷たくてビックリされないかな)と思います。指先を温めるのに、お尻の下とイスの座面の間に手のひらを差し込むのが、指先を温める一番簡単な方法ですが、患者さんの手前、自分のお尻に手を当てているのを見せるのは恰好悪い。カイロを使ってみましたが温まる範囲は限定的で効果なし。

    ネットで探して、両手の指が温まるものを探しました。

    すると、フリースでできた筒のような形状のハンドウォーマーが見つかりました。

    製品の画像より

    暖かいです

    使ってみるとたしかに両手の指先を温めることができてよかったです。

     

    さらにいろいろ探していると、デスクで昼寝のできるマクラも見つけました。

    患者が診察室に入ったときにこんな格好で寝ていたら、ビックリするだろうなと思って、これは買いませんでした。

     

  • 地震の後の生活

    トルコの大地震の報道を見ていると、電気もガスもないところで寒さに震えている人を見て心動かされます。

    もう30年近く前になりますが、私も大地震に遭って、その後、電気や水、ガスなどインフラのない生活を強いられたことがあります。

    当時神戸に住んでいた私は、被災地の真ん中、ポートアイランドに住んでいました。他人の家に風呂を入れてもらいに行く、「もらい風呂」の体験をしたのもこの時です。飲水は翌日くらいから給水車が来たので、困らなかったのですが、風呂はなかなか入れず、洗濯もできず、だんだんとホコリが付いて、アンデスやネパールに出てくる少年みたいに、垢だか日焼けだかわからないような顔になってました。震災から一か月は水道から水が出ない生活が続き、風呂も当然入れず。震災の影響が少ない、神戸市北区の知り合いの知り合い(まったく知らない)人の家に風呂に入れてもらいに行きました。季節は1月だったので、体も温まりました、思いやりに心の温まる思いでした。

    自宅近くでは一週間後くらいして、自衛隊が近くの小学校に来てくれて、浴場を設営してくれたので、偶数日奇数日とわけて、男湯女湯にして入っていました。。

     

    1995年1月 廃墟に立つ私

    1995年1月 廃墟に立つ私

    がれきの中でオフロードバイクが大活躍しました。

    都市で災害が起こると、交通が寸断されます。がれきを取り除く重機も入ることができず、救援活動が遅れます。

    私は悪路も走れるオフロードバイクに乗っていたので、がれきで通行止めになった場所でも乗り越えて、遠方に行くことができました。

    震災から2週間後、普段アルバイトに行っていた病院にバイクで行くと、そこの院長から

    「君は震災の後来てくれた最初の人だよ」と感心されました。

    救護所に移動するのも、バイクが速い。

    災害でテンションが上がる人がいます。

    救急の先生とか一部の外科の先生は、震災から2日くらいは、人間とは思えないくらいハイテンションで働き続けていましたが、3日めからはぱたりと話を聞かなくなりました。おそらく疲れが出たものと思います。活動が長期化してくると、テンションを維持するのが難しいことがわかりました。

    私は電気も水もガスもない病院では、何もできないので、市内の各地にある避難所に行って、応急処置などをしていました。震災当日は、麻酔薬等もなくなってしまい、麻酔なしで傷を縫っていた、話を聞きました。

    災害に備えていても、災害は常に「想定外」でやってきます。

    大事なことは、ああすればよかった、とか過去の事を悔やんでいるよりは、今できることに神経を集中してひたすら前向きに生きることだ、と思いました。

     

     

  • ヨルダン人の医者

    左がヨルダン人の軍医

    左がヨルダン人の軍医 右は37歳の私

    テレビや新聞で中東の話が時々出てきますね。

    私はヨルダン人の医者を思い出します。

    昔の話ですが、私はアフガニスタンのNGOで仕事をしていたことがあります。

    アフガニスタンは長い戦乱の歴史があり、医療も不十分です。

    病気になっても、行ける病院がない。ということで私は病院を作るお手伝いをしていたことがあります。日本で「当たり前」と思われるものが「ない」ので、いきなり病院作ると言っても簡単にいきません。

    人を集めて、給料払って、土地を借りて、診療所立てて、というところから始まります。

    治安が悪い、電気や水もちゃんと来ない、もちろん酸素の配管もない、手術の道具もない、とないないづくしです。

    ほぼゼロから、クリニックを作って、地元の人で運営できる状態にして、譲渡したのが私の一年間のプロジェクトでしたが、そんな中で、当時ヨルダンから軍隊が救援活動に入っていて、婦人科の軍医が指導に来ていました。市内の病院で子宮筋腫と卵巣腫瘍の手術をやっていたので見学する機会がありました。

     

    このヨルダン人の婦人科医は非常に良心的で、教育熱心な男性でした。

    「私はここでこの土地の人を教えることができて、ハッピーだ」

    と言い

    人を助けたい、という気持ちは世界共通なんだ。 なあブラザー(私のこと)、私の言っていることは分かるだろ?」

    手術中にそんなことをつぶやきながら、子宮筋腫の核出手術を行い、卵巣癌かもしれない巨大な 卵巣腫瘍を摘出していました。

    麻酔の方法がケタラールを使った、かなり原始的な麻酔で、逆に患者の状態もちゃんとモニターされていないような場所でも使うことができます。

    私が日本で見たとしたら逃げ出したくなるような厳しい条件の 下で てきぱきと指図をして、周りのスタッフを動かして手術をしていました。

    「出血を起こさないように縫合するコツはねえ・・・」

    などとべらべらしゃべりながら、なんと37個の子宮筋腫の核出の手術を行いました。

    こんな症例は日本では見たことありません。

    日本人の私から言わせると、手術は相当荒っぽいですが、要点は得ています。

    「いてっ!メスを持ったまま、臓器を持たないようにって言っただろっ!」

    と彼は叱っていたが、手術中の針刺し事故などしょっちゅうでした。

    「痛っ!」

    私も手術中に、彼の動かす針で指を刺してしまいました。

    手術を受けた患者はおそらく感染症の術前検査などやっていないはず。どんな病原体がいるかもわからないので

    私が大あわてで指の血を絞り出していると、

    「何やってんの?面白ーい」という感じで、周りで見学の看護師がケラケラ笑いました。

    針刺しが危ないってこと気が付けよ!)と怒りで頭が一瞬クラクラしましたが、じっとこらえました。

    こんな「ないないづくし」の厳しい環境で手術を教えているヨルダンの婦人科医の態度に頭の下がる思いでした。

    子宮筋腫の核出手術をするのに、ピトレシンという薬剤を使うかどうかで、彼とは大議論になりましたが、

     

    いまではいい思い出です。

     

    人を思う気持ちに宗教や国境はありません

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