院長ブログ
フラリーマン
2023年10月1日|院長ブログ
実家の母が亡くなってから、もうすぐ半年。
妻に先立たれて、独り身になった父。先日86歳になりました。
奥さんに先立たれた夫は、後を追うようにすぐに死んでしまうことが多い、と聞きます。近所に住む私は、訪問の頻度を増やして、週に1~2回父の顔を見に行っています。
運転免許も返納させられてしまい、意気消沈しているのではないかと思っていましたが
本人はあまり気にしていない様子。
私の父は囲碁が趣味だったのですが、クルマの運転ができなくなった後もバスに乗って囲碁の集会場に行っています。
出かける程度の体力はあるので、安心したのですが、逆に、連絡が取りにくく困っています。 スマホもかろうじて使えるのですが、携帯していないことが多い。
こちらから電話をかけても、どこに行っているのか、生きているのか、死んでいるのか、もわからないことがあります。
86歳なら道端で倒れて死んでもおかしくないですから。こちらも心配です。
父は昔、仕事をしていた頃は真面目な公務員でしたが、休日などは自宅を離れて、どこに行っているかわからない時間がありました。
一日の仕事が終わってから、帰宅までの時間が長かった。仕事終わってから自宅に帰るまで、フラフラしていたのかもしれません。
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以前ニュースで「フラリーマン」と呼ばれる人たちが話題になっていました。
仕事が早く終わるので、自宅に帰るまでの間、あちこちに寄り道して帰る夫。サラリーマンなのに、ふらふら寄り道して帰るから「フラリーマン」と呼ばれる。
家に帰れば真面目ないい夫ですが、帰宅までどこにいるのかわからないので、妻は困る。
つまり父は元祖「フラリーマン」です。
女性の親と比較して仕事を持つ男性が「フラフラ歩き回る」のは男(オス)が石器時代から遺伝子DNAに刻み込んだ本能ではないかという説があります。狩猟採集の時代はフラフラ歩いていることによって、獲物や食べ物を見つける頻度が増えるため生存に有利に働いたと思われるからです。
「一人だけの時間が欲しい」とか「帰りがけにちょっと寄り道する」のは男性の特徴の一つなのではないかと私は思いました。
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ふらふらしている人間、傍から見れば迷惑ですが、しかし、我が身を振り返ると、私もフラリーマンの遺伝子があることに気づきました。
私も少年時代から、あちこちをフラフラ歩き回りたい人間でした。
小学校の頃は、すねると家出をする習性があり、高校生の頃は山岳部に入って山中をフラフラ歩き回り、大学に入ってからは、自転車で日本一周を「フラフラと」しました。その後はバイクでツーリングしてあちこちフラフラ。ふらふら歩きまわる遺伝子は親譲りだったのかも。
現在こういう(拘束の多い)仕事をしていて、何が一番やりたいかと言えば、「自由気ままにあちこちをフラフラ歩き回る」ことです。