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院長ブログ

FGM female genital mutilation

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以前のブログで男の子の性器の皮を切る手術の話をしましたが、イスラム社会、ユダヤ教の社会では、広く行われている習慣で、

「割礼」とも呼ばれます。

世の中には女性版の「割礼」もあります。

女性器のクリトリスや小陰唇を切除してしまうもので、FGM(female genital mutilation)(女性性器切除)と呼ばれます。

中央~西アフリカの一部で現在でも行われています。

女性のこの習慣については、西側諸国の女性人権団体が、「すぐにやめるべき」と運動しています。

男性の割礼、FGMともその社会の中の通過儀礼として「誰もが経験すること」とされているので、なかなかやめさせるのが難しい。

今の日本に住む私たちからすれば、皮を切るなんて、なんて残酷、と思うかもしれませんが、

かつて日本でも、性器を手術したいと考える人が沢山いた時代があったのです。

私が産婦人科医になる、もっと前の時代。たぶん今から40年~50年くらい前のころ。

お産で子供を産むと、膣が広がってしまい、産後のセックスで性感が得られない、と考える人が、かつては多くいました。

そこで、お産をしたときに、医者に頼んで、「わざと膣が狭くなるように縫う」ことがかなり行われていたようです。

処女信仰のある時代には「処女膜再生術」という手術の方法もありました。

正確な資料は持ってませんが、私がかけだしの医者の頃、私に「膣を小さく塗ってください」という産婦がいました。

また、数年前に「尿がちゃんと出ない」と言って、私のところに診察を受けにきた60代の女性がいましたが、

尿道の出口のところで、左右の小陰唇が、縫い合わせられた状態になっている症例を見ました。

本当のところは教えてくれなかったのですが、産後に膣を狭くする目的で縫合したとしか考えられませんでした。

膣の皮を縫って狭くしたくらいでは、産後の性感が良くなることはなく、痛みがひどくなるだけなので、

この手術は時代とともに廃れていったと思われます。

 

時代が変われば考え方も変わります。

今普通と思っていることが、将来は普通でないかもしれない。

自分をしばっているものがローカル・ルールだったとわかると、生きるのが楽になることがあります。

 

 

 

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