院長ブログ
ハンサムと言われるとき
2022年1月30日|院長ブログ
「あなたハンサムね」 と言われたことが今までの人生で2回だけある。
一つはインドで。
一つは、フィリピンで。
インドで言われた時は、若い男からだった。
学生のときの旅行中でバックパックを背負っている私を見て、ニコニコ笑っていた。
「ちょっとうちで お茶飲んでかない?」
生まれてこの方、自分のことをハンサムだと思ったことは、PM2.5の粒子ほどもない。
とりあえず疑ったが、民家の庭先へ招かれて入って行き、チャイを出された。
「いやあ、日本人は親切だし、すばらしい国だ」
いろいろお世辞を言われたが、最終的にはこういうことだった。
「この土地で取れる宝石を日本に持って帰って売ると、買ったときの10倍くらいで売れるんだよ。どう、買っていかない?」
ということだった。美しく輝く宝石の数々を引き出しから出してきて、私の目の前に並べた。
その土地ではサファイヤが取れるそうで、日本の取引先である宝石店に持っていって売ると破格の値段で売れる、という。
どういう石が高いのか、素人の私にはまったくわからなかったが、手に取って、日差しにすかして眺めると宝石らしいことは間違いなかった。
しめしめ、日本に帰れば、大金ゲット!
と私は思った。
残りの旅行費をぎりぎりに切り詰めて、使えるお金(それでも4万円程度だったが)をすべて旅行者小切手で支払った。
ワクワクしながら日本に帰って、指定された大阪の住所を訪ねてみると、たしかにそこに店はあった。
店員は疑わしそうな目で私を眺めたあと、しばらく石を鑑定して、こう言った。
「お持ちになった石は、6千円くらいでしょうかね」
ああ、だまされた!
とそのとき思った。
予想よりあまりに安い値段だったのでがっかりして、換金せず、持ち帰ってしまい
その後その石は人にあげたりしてどっかに行ってしまった。
先日、バリ島に行くという知人(女)に 「バリ島は言い寄る男性が多いから気をつけなさいよ」と話をしていて、このことを思い出した。
私がフィリピンで「ハンサムね」と言われたときには、私の娘と結婚して日本に連れて行ってくれ、 というとんでもない話だったが、
「ハンサムね」と声をかけてくる人にはとりあえず注意している。