院長ブログ
エピペン
2025年10月12日|院長ブログ
今年のノーベル生理・医学賞に日本人の坂口氏が受賞しましたね。
免疫の制御について制御性T細胞があることをあきらかにした、とのこと。
免疫といえば、病気に対する反応ですが、アレルギーは免疫の過剰反応といわれています。
病院では患者が入院するとき、薬でアレルギー反応がないか質問があります。
問診する看護師はそのあたりはちゃんと聞いてくれるので、医師は助かるのですが、
しかし、念入りに調べるので変わった食べ物のアレルギーまで記載してくれ、驚かされることがあります。
マツタケでアレルギーが出ると聞いたときには(なんて贅沢な)と思いましたが
アワビやイクラで出る人もいます。
変わったところでは、
「北京ダックを食べたときだけ、ものすごいアレルギーが出たんです」と教えてくれる人がいた。
鶏肉では大丈夫だが、なぜか北京ダックを食べるときだけアレルギーが出るという。
自慢げにそういうことを言っていた人もいました。
シャネルの香水でアレルギーが出るとか、ディオールで出るとかいう人もその後出てきましたが、
私には一度も嗅いだことも触ったこともなく、アレルギーになりようもない。
さてアレルギーの最重症型は「アナフィラキシーショック」と呼ばれていて、急激に喉がむくんで呼吸困難になることがあります。
最近では「エピペン」といって、アレルギーが発症したときに、すぐにうてるようになっているキットが市販されています。アドレナリンです。
子供が食物アレルギーで緊急に治療が必要なとき、簡単に注射できるキットがあります。
一時「小学校の先生でも使えるように」と普及活動されていましたが、あまり使われているという話は聞きません。
エピペンは、多少いい加減に注射しても有効で、危害がないように、アドレナリンの量は少ないのですが、やはり、「劇薬」です。医者や看護師でも、注射する量が「本当にこれでいいのかな」とためらってしまいます。ましてや小学校の先生のように「針を人の体に刺す」行為自体、やったことない人には、怖くてできない。
また食物アレルギーも、大半はのどのかゆみとか、じんましんなどの軽い症状で終わることが多く、あまりエピペンの出番はないのかもしれません。
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エピペンで刺すのがこわい、ところから、自分も小学校のころ、自分で緊急処置を迫られた事件の記憶を思い出しました。
自宅でニワトリを飼っていて、ある日、蛇が忍び込んできて、ニワトリを餌食にしようと、ニワトリに巻き付いて襲っているところに遭遇しました。
一羽だけで飼っていたペットのニワトリだったのですが、殺されるかもしれない、と思い、近くにあった金属の棒でたたいて追い払いました。
追い払い際に、ヘビが私の腕を噛んだ!
えっ! これ毒壁! かまれたら早く吸い出さないと、毒が回って死んでしまう!
ヘビには一瞬噛まれただけですが、テレビでやっていたように、早く皮膚を切って毒を吸い出さないと!
台所の包丁を持ってきて、自分の腕を切ろうか、さんざん悩みました。
死んだらどうしよう!と不安になって、おろおろしているころに、母親が仕事から自宅に帰ってきました。
「そんなこと、やめときなさい!」
ヘビの特徴を話したら、毒のある種類ではないらしい。その後私の腕は、噛んだ痕もすぐに目立たなくなり、大したことはありませんでした。
(皮膚切って毒を吸い出さないと死んでしまう!)とおろおろしていた自分が、笑えました。