院長ブログ
スモモ
2023年6月18日|院長ブログ
実家の畑 の脇に高さ3mくらいのスモモの木があります。
毎年この時期になると、スモモの実が熟して、ボタボタと地面に落ちてきます。
一斉に実が落ちるので、タイミングが合えば実が沢山取れます。
先日スモモの近くで草むしりをしていると、「スイマセーン」と声、見るとアジア系外国人の若い女の子二人が立っている。小柄で20代くらい。近所に住んでいる技能実習生らしい。
スモモの木を指さして「アレ モラエマスカ?」とカタコトの日本語。
自分が取っても余るので「ああ、どうぞ~」と笑顔を作って、言いました。
女の子たち、手を伸ばして届くくらいの実を取ったら、帰るのかな、と草むしりしながら、チラチラ見ていると・・・
二人はトラのように猛然と木に登りだし、葉っぱに隠れて姿が見えなくなるくらい、するすると高いところに登っていき、スモモの実をもいでる。
(そんなに沢山取るとは思ってなかった・・・)
しばし呆然・・・
「いいよ」、と言ってしまった手前 ちょっとやめてよとは言いにくい。日本語通じにくいし。
ポリ袋に実を取った女の子の一人が、木から降りてしばらくすると、今度は、体格の良い男性を連れてきた。
男性はさらに枝の高い方に登って、手に届く限りのスモモを取っている。
3人がかりで、10分くらいして、人間の手で届く限りのスモモを取りつくした後、「アリガト~」と言って帰っていきました。
(国際親善、国際親善・・・)と心に念じながら「良かったね~」と笑顔を作って見送りました。
*
食べものをあげる、という行為は、言葉が分からなくても善意の印。
昔私が医学生の頃ですが、カンボジアでNGOの仕事の見学をしたことがあります。ワクチン接種で、地方を回っていた時のことです。
イナカで、何もないところでした。若い男女が、自分の家の庭先に生っているスモモを、私のためにと、気に登って取ってきて、プレゼントしてくれたことがあります。言葉もわかりませんでしたが気持ちが伝わってきました。
金銭のお礼よりも気持ちが伝わってうれしかった。
このことを日本に帰って、友達に伝えようと、袋一杯、スーツケースに入れて、日本に戻ってきました。
なんと、空港の検疫でスーツケースの中のスモモを発見されてしまい、「国内へ持ち込めません」と職員に言われました。
病気を持ち込む危険があるので、果物はみだりに持ち込んでいけないのだそうです。
思い出のスモモは全部没収されてしまいました。