院長ブログ
立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花
2023年6月4日|院長ブログ
「立てば芍薬(しゃくやく)、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」
美人を表すことわざがあります。芍薬も百合も、静岡ではちょうど見ごろです。
芍薬は、すらっと伸びた茎の先端に美しい花を咲かせる為、その姿はまるで美しい女性が立つ様と表現されます。
百合は風に揺れる様が美しいため、美しい女性が歩く姿のようだ、との由来があります。
よく栽培されている花も漢方薬として利用されることがあり、芍薬もその一つです。
産婦人科の外来には、生理の異常で来られる患者さんも多いのですが、どういうわけか、芍薬(美人)のようなすらっとした人で、生理不順の人が多い。
芍薬美人といえば生理不順、と言ったら言い過ぎですが、ホルモン薬についでよく使われる薬が漢方薬の、あの「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」なのです。
「やせている、生理不順」→ 当帰芍薬散 という治療がぴったり当てはまるのです。
漢方薬は、患者の「証」いわゆるタイプ、のようなものがあって証が合えばよく効く(が、証が合わないと効かない)とされています。やせて、エネルギーの少ない状態を「虚証(きょしょう」と言うのですが、当帰芍薬散は虚証に効果があります。
漢方には、いろいろな専門用語があるのですが、最近話題になるのが「瘀血(おけつ)」という状態です。
血の巡りが滞って、体の不調が出ていることを瘀血(おけつ)と 本来呼ぶのですが、間違って理解していた患者さんがいて、笑えました。
「生理の時に肛門のあたりが痛いんですけど、これってオケツですか? 」
と質問された、20代の患者さんがいました。ちなみに「芍薬のような」と表現しても差し支えない、美しい方でした。
生理の時に、排便痛があるのは、子宮内膜症でみられる症状なので、婦人科の治療の対象ではあるのですが・・・
この人は「お尻」のことを「おけつ」と勘違いしていました。
「たしかに瘀血(おけつ)ではありますけど・・・オケツではないですよねえ」
真面目な表情になるよう努力して、私は答えました。