院長ブログ
世の中は進歩していない
2023年1月1日|院長ブログ
あけましておめでとうございます。
年末年始の区切りに本を読みました。「減速する素晴らしき世界」(ダニー・ドーリング著)という最近出た本です。詳細なデータが並べられていて、ちゃんと読むと難しい(適当に読みとばしてしまったので、著者の意図をくみ取れているかわかりません)のですが、新しい気づきを与えてくれました。簡単に言うと、
「世の中は進歩するのが当たり前と考えられていたが、実はそうではない。停滞した(安定した)世の中に移行しつつあることに気づくべきだ」ということです。
経済成長 人口増加 借金(債務)の増加率 科学技術 すべてが今までのスピードからゆっくりになっていく。
AIとかクルマの自動運転とか、宇宙開発とか、これからの技術を私は楽しみにしていて、人間はどんどん進化していくものだ、と疑わずに育ってきた私には、「えっ?」と意表を突く論点の展開でした。そういわれて見れば、すっかり停滞した日本、これでGDPの成長率が1%もある、というのはどういうことなのか、と疑問がわきますし、「(進化の)スローダウン先進国」は日本である、という論旨ですが、腑に落ちます。
私は出産にかかわる仕事をしていて、出生率の低下が悲観的なとらえ方をされることも多いのですが、長い人間の歴史の中で、爆発的に増えた人口が、(スローダウンして)安定的な状態に移行している途中と考えれば、出生数が減り人口が減っていくこと自体は、そんなに悲観的になることもないようなあ、と思えます。
普段メディアの報道からだけでは気が付かない、世界の流れを再認識させてくれる良い本です。
3年くらい前に「ファクトフルネスFACTFULLNESS」(ハンス・ロスリング著)がベストセラーになりましたが、世界についての認識を改めさせてくれる良い本です。著者はスウェーデン生まれの医師で、実際に世界の人の健康状態は良くなっていることをデータで示し、メディアで報道される内容によって、人々が誤認していることを気づかせてくれます。スウェーデンという国自体も、今では先進的な高福祉国家と捉えられていますが、実は最近までそうではなかったと、著者自身の経験から語っています。
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さて、体力も知力も「スローダウンする」年齢に来ている私としては、マラソン練習してもタイム良くならないし、物事忘れっぽくなっているし、年の初めに「これやろう」と思っても、「でもやっぱ無理かな」と思う事も多いのですが、ヒトとして生きる流れの中では、当然起こることであって、まあ、そんなもんだよなあ、と思った新年の初めでした。