院長ブログ
脱毛
2022年8月31日|院長ブログ
この夏も暑かったですね。肌を見せる機会も多いです。
最近は男性も脱毛する人が多いのだとか。
ムダ毛がない肌はきれいに見える・・・と考える人がいるのはわかりますが。
産婦人科医をやっていて思うのは、アソコの脱毛は健康的ではない、ということです。
最近「肌トラブルの少ないナプキン」の宣伝とかよく見ませんか。脱毛する人が増えると、肌トラブルに悩む人も増えるのです。
腋毛にしろ恥毛にしろ、そこに生えていることで、異物が直接肌に触れるのを予防する効果がありますが、脱毛をしてしまうと湿った下着がぴったり肌について、細菌が繁殖しやすい状態になります。脱毛の種類によっては毛穴にブドウ球菌などバイ菌が繁殖しやすくなります。
なぜか、この夏は「マタがかゆい」とか「ヒリヒリする」といってクリニックに来る患者さんが今までより増えた気がします。健康な若い女性が、マタが痒いことに悩まされてしまうのはかわいそうなことです。アソコの毛は剃ったり抜いたりしないほうが良い。
また、キレイにしようと思って過剰に洗うことで、肌のバリヤ機能を壊してしまい、逆に細菌感染が起こりやすくなります。膣の中も洗いすぎることで、善玉菌が流れていってしまい、臭いや色のついたおりものの原因になる悪玉菌が繁殖しやすくなります。
カンジダ膣炎も、頻度の多い肌トラブルです。おりものとかゆみをともない、菌はどこにでも存在するので、繰り返し感染する人もいます。
私が海外旅行をよくしていたころ、Lonely Planetのガイドブックシリーズを利用することがありました。世界で最も売れている旅行ガイドブックです。
このガイドブックに「旅先でカンジダ膣炎になったら」という項に「ヨーグルトを腟に入れるとよい」と書かれていました。
産婦人科の医者として、この治療法は根拠がないわけではないと思います。
「膣内の善玉菌は乳酸菌」→「ヨーグルトは乳酸菌」→「膣の中に乳酸菌があればよい」という理屈です。
ただし、乳酸菌にもいろいろあって、腟の中にいるのはデーデルライン桿菌と呼ばれる種類で、ヨーグルトに含まれている乳酸菌とは種類が違います。おそらく定着しない。膣の中にヨーグルト入れたとして、害はありませんが、効くかどうか私にはわかりません。
健康な膣分泌物(オリモノ)のにおいはヨーグルトのような匂いがする、と一説にはありますが、私に言わせれば「プリンに醤油をかけるとウニの味がする」程度の感覚です。
えっ?わからないって?