院長ブログ
生理の貧困
2021年3月7日|院長ブログ
「生理の貧困」が最近ニュースで話題になりました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210304/k10012896501000.html
「生理の貧困」を調査 学生の約2割“生理用品 買うのに苦労” | 新型コロナ 経済影響 | NHKニュース
コロナ禍で経済的に苦しくなり、満足に生理用品が買えない状態のことを指します。
生活費の多くをバイトに頼っていて、コロナ感染症による時間短縮営業などで飲食店等での仕事が減ったことが影響しているとか。
私は仕事柄、毎日「生理どうでしたか」を話題にしています。いろんな生理の話を聞きます。しかしナプキンが高くて買えないという話は聞いたことがありませんでした。買えない値段でもないと思iいましたが、これすら買うのにお金がない、ということでしょうか。
出血している日数は3日から7日、周期28日を平均として25日から38日の間、というのが正常の月経です。
規則正しく月経が来ていることが体の調子が良い証拠といわれていましたが、最近 専門家の間では、必ずしもそうではない、といわれます。
近代化以前(150年前くらいまでの)の女性は10代半ばで妊娠可能な体になると、10代後半で結婚、妊娠・出産を繰り返し、平均寿命は50歳くらいでしたから、一生の間に経験する月経の数は、現代よりはるかにすくなかったと考えられています。
イギリスのピルの参考書に書いてあったことですが、1950年代ごろ、イギリスからアフリカのある国にボランティアで行った医師が、40歳のある女性からこんな相談を受けたそうです。
「下からなにか変な出血があるんですけど・・・」
出血の出方からすると、どう考えても生理。よくよく話を聞いてみると、その女性は、10代半ばで妊娠してから、出産して授乳、何年かして排卵がもどると、すぐに妊娠、ということを繰り返し、11人の子供がいるが、なんと、40歳になるまで生理を経験したことがなかったそうです。
近代化以前の社会では、女性は妊娠と出産を繰り返し、寿命も短かったので、一生の間に生理を経験する回数が 今ほど頻度が多くなかったと考えられています。
毎月毎月 月経を経験しつづけることで、子宮内膜症の頻度も昔より増加しているのではないかという説があります。
最近「男性の体」がイヤで女性の体に性転換したいという人の話を聞きますが、そういう人は生理のトラブルも経験したいのでしょうか。
生理の量や痛みに個人差はありますが、少なくとも「楽しい生理」はないようです。
私の外来で見かける「生理でびっくり」には以下のような事例があります。
*彼氏とエッチしたけど妊娠すると困る、生理が来ない、妊娠かなあ、どうしよう、どうしよう、やっと来た、というような「ほっとした生理」は時々耳にします。
*最後の生理いつだったかなあ、生理来ないんですけど・・・えっ? 妊娠してるって? うっそお! とびっくりされる人は一年間に2~3人見かけます。
生理の時に何を使っているかについては、印象ですが、ナプキン(とおりものシート)8割以上、タンポンは1割くらいでしょうか。
さて、高いと言われるナプキンですが、もっとエコな月経時のものがあるのをご存じでしょうか。
月経カップといって、月経血をためるシリコン製のカップが市販されています。3000円から7000円くらいでネットで市販されています。
(Amazonのサイトから)
私も産婦人科医ですので、試しに買ってみて、周りの女性に試してもらったことがあります。やわらかいシリコン製で、洗えば何回でも繰り返し使えて、とってもエコです。ただ初めてモノをみた人によれば漏れないか不安、指でまげて出し入れしますが、慣れるまでちょっとコツがいるようです。膣の大きさも結構個人差が大きいので、自分のに会うサイズを見つけるのも大変かもしれません。体質や、お産の経験のあるなし、性行為の頻度などで膣の大きさは人によって違いが大きいです。(S・M・Lというおおざっぱな分け方だと、サイズが合わない人がいるかもしれません)
ナプキンが高いという話だったので、月経カップもどうかな、というお話でした。