院長ブログ
アヘン戦争
2025年4月12日|院長ブログ
大量に密輸された麻薬で、アメリカ人の多くが麻薬中毒になっている。
なんとかしなければ・・・
トランプ大統領が、周辺の国にとんでもない関税をかけている理由の一つは、中国から入ってくる麻薬の流れにストップをかけたい、からです。
フェンタニルという鎮痛剤は、強力な痛み止めであると同時に、麻薬として働くので、多くのアメリカ人がフェンタニル中毒になってしまっています。
そのフェンタニルは、原薬が中国で製造され、メキシコから国境を越えて入ってくるのだ、とか。
「現代のアヘン戦争だ」と言っていた人がいましたが、19世紀のアヘン戦争は、今の中国とイギリスの間で起こった戦争です。
アメリカでは簡単に麻薬が処方されてしまうので、医療用の麻薬中毒で苦しむ人が激増して問題になっています。
私も仕事柄フェンタニルを使うのですが、フェンタニルはよく効く鎮痛剤です。しかし日本では管理がとても厳しい。
コロナのパンデミックでみなおされた習慣の中に、公文書の「ハンコ省略」があります。
ハンコを押すためだけに会社に行くとか、書類をそろえるためだけに、あっちこっち行くのは無駄だ、という教訓を今回のコロナウイルス感染症はもたらしてくれました。
しかし、麻薬管理の文書のやり取りは こんな世の中の動きに、依然として逆らっています。
保健所が厳しい管理をしているので、日本はアメリカのようにはならないでしょう。
今回2年ぶりに麻薬を扱う許可証の更新をしましたが、申請書類のこことここに押印しなさい、あなたの診断書もつけなさい、コピー2部つくりなさい、といろいろ面倒でイヤになります。
管理者として、2年に一回更新の申請をする。診断書も添えて提出。購入には「麻薬譲受証」を印鑑のついた書類を添えて薬品卸の業者に依頼する。
とても面倒くさいです。
分娩の痛みを取る時にある種の鎮痛薬を少し加えるとぐっと効きがよくなるので、この免許が必要なのですが、
麻薬の使われ方では、世界の中で日本は厳しい方です。
ガンの末期の患者に、どうして日本の医者は麻薬をもっと使って痛みをとってあげないのだ、と海外から批判にさらされた時代もありましたが、こういう厳しい規制が麻薬のまん延を防いでいるとも言えます。
私の友人の医師が、たまたま尿路結石にかかって、激痛のため、治療の時にペンタゾシンという麻薬性の鎮痛剤をうってもらった経験を話してくれましたが、「フワフワとして気持ちよかった」そうです。(2回や3回の注射では麻薬中毒にはなりません)
麻薬はうたなくても、脳内で作ることができます。