院長ブログ
遠隔診療
2020年4月15日|院長ブログ
コロナ肺炎の影響もありオンラインで患者の診察できるしくみが進んでいて、私もやってみようかなと思っています。
オンライン診療については、90年代の終わりから、すでに遠隔医療の取り組みがはじまっていました。
私は20年近く前、当時「日本で初めて」という遠隔診療の実験を見たことがあります。
2001年ですが、大阪駅近くのホテルでネパールの病院と日本とを衛星インターネット回線でつなぎ、手術の画像や音声を送る実験をしました。
参加者は10人程度で医者ばかり。パソコンが得意で、かつ、途上国の医療に興味がある、という非常にマイナーな興味を持った人たちの集まり(全員男性、ある意味オタク)でした。
ネパールの地方の病院を援助している医療NGOが企画したもので、 医者が日本にいながら、ネパールの病院に アドバイスや指示を送って、的確な診断や手術ができるようにしようという考えでした。
日本にいる私たちのパソコン画面に、ネパールの病院の部屋の様子が映し出され、現地の病院のスタッフの顔が次々と 映し出されました。
「おお~っ!」
現地でパソコンのセットアップをしてくれた医者に「聞こえますかあ?」と質問すると、
「・・・」
5秒くらい遅れて「聞こえますよお」と返事が。
新生児の腹部レントゲン写真を読んだり、子供のそけいヘルニアの手術など診たり
ネパールの病院でのX線写真を確認したり、手術の様子が日本にいる私たちにも伝わりました。
手術は、赤いものが見えて、なにかやっているんだろう、程度はわかりました。
ただ実際の手術指導はとてもムリ。
例えば手術中に出血を起こして、それを見て日本で止血の指示を出して、とやっていたら、対応が遅すぎて、おそらく患者は死んでしまうでしょう。
当時最速のISDN回線ですが通信速度に限度があるので、動画はコマ送り。開発されて間もないソフトウエアは、ウインドウズ98のOSで動くのですが、パソコンがメモリーオーバーですぐ止まる。何度も再起動。
今から考えると実用には遠かったです。
「ネパールの病院と日本をつないで医療をした日本初のケースだ!」と参加者は喜んでいましたが、大の大人(医者でPCオタク)が集まってワイワイやっていました。
ちょっと離れて見ていた私には、糸電話を作った小学生が 声が聞こえることを発見して喜んでいるような感じでした。