院長ブログ
洗礼
2020年2月19日|院長ブログ
新型コロナウイルス感染症がいよいよ国内でも見つかってきましたね。ニュースでは、これから広がってくるような不安をあおるような報道ですが・・・
実は診断が難しいのです。
まず、「フツーの風邪」と区別できない。
厚生労働省の通達では「37.5度の熱が4日続いたら・・・」と言われていますが、初期症状からでは通常のウイルス性上気道炎と新型コロナウイルス感染症の区別は全くできません。
診断キットを使えばいいのですが、現在、私たちのような一般のクリニックには普及しておりません。従って、クリニックに受診されても診断できない。「保健所に行ってください」とお伝えするしかありません。
メディアの報道でも「初期にふつうの風邪と診断された・・・」とありますが、当然のことです。
通常の風邪でもクリニックを受診する人、自分で治す人、いると思いますが、医者の立場からすると風邪程度で病院に行くことをあまりお勧めしていません。
風邪薬はありますが解熱鎮痛剤などで症状を抑えるだけです。テレビの宣伝では、「のめば風邪がなおる」ような印象操作されていますが、風邪のウイルスを抑える薬はないのです。
私もたまに軽い風邪をひくことがありますが、そういう時は自然治癒力を期待して、葛根湯や小青竜湯などをのんでしのいでいます。
日頃からの手洗いなどの衛生操作が重要です。
ふつうの人が気をつけても、感染が起こってしまう、大きな原因の一つに「子ども」があります。
ノロウイルス、ロタウイルスなどの下痢症のウイルス、突発性発疹やサイトメガロウイルスなどのヘルペスウイルスの仲間、風疹、インフルエンザウイルス、リンゴ病(パルボウイルス)など、子どもの間で流行し、子どもの親にうつって、大人で感染が広がるウイルスがあります。
2~5歳の子供に「手洗いしなさい」と言ってもまずムリ。園で子ども同士で感染した後、自宅でママやパパに「抱っこして」もらい「チュー」して感染が広がります。
そういうわけで、小児科の医者は冬に急に忙しくなります。
小児科の先生は初期の研修の頃に子供の患者からからいろいろ感染症をうつされるそうです。
この一年目の経験を「小児科の洗礼を受ける」と呼ばれています。
私も救急にいた研修医のころ、洗礼を受けましたた。風邪ひきでやってきた5歳の子どもの喉を見ようとして、
「お母さん、ボクの頭抑えててね。さあ、アーンしてみようかあ」
と舌圧子で舌を押さえて喉を見ようと顔を近づけたところ・・・
グェホッ、グェホッ
子どもの痰の混じった唾液が顔じゅうに付着したことがあります。