院長ブログ
頭が大きい
2023年10月22日|院長ブログ
妊婦健診をしていて、「赤ちゃんの頭、大きくないですか。大丈夫ですか」と質問する妊婦さんは多いです。逆に「頭小さくないか」と聞く人はほとんどいません。もちろん水頭症などで異常に大きい場合もありますが、「病的に」頭が大きい赤ちゃんは、(正常の妊婦を診察している)うちで健診する妊婦さんの100人のうち1人もいないくらいです。
不思議です。
ベビーの頭が大きいことを心配している妊婦が多いのは、思うに、1)頭の形は個人差が大きく、機能的には正常でも、エコーでは「異常に」大きいと判断されることが多い。2)医者が「大きい」とか「小さい」とか誤解しやすい端的な表現をする。ためだと思います。
昔は、レントゲンで骨盤の形と胎児の頭の形を測って、赤ちゃんが通りやすいかどうか、検査していた時代もありました。私は実際に上司の研究の手伝いで、病院の地下室にある妊婦のレントゲンフィルムを山のように引っ張り出して、比較研究したこともあります。
それでわかったのは、赤ちゃんの頭の形には縦に長いタイプ(長頭形)と横に長いタイプ(短頭形)があることです。

頭蓋骨の形には個人差がある
頭蓋骨を輪切りにした頭の形はそれぞれですが、人種差があるともいわれ、欧米人では長頭形、アジア人では短頭形が多いといわれます。
エコーで測る胎児の頭は、横幅(大横径:Biparietal diameter)を測りますが、これには頭の形が、たて長か横長か、ということは考慮されていません。

単に頭の幅を測定しているだけです
医学的には(正規分布していると仮定して)標準偏差のプラスマイナス1.5SD(全体の90%が入っている部分)から外れていれば「異常」と判断します。
機能は全く正常でも、頭の形の個人差で、たて長の頭の形をしている赤ちゃんは「頭が小さい」、横長の頭の形をしている赤ちゃんは「頭が大きい」と判断されやすくなります。妊娠8か月くらいの時期には、横長の頭のベビーが「異常に大きい」と診断されてしまうことが、経験上多いです。もちろん生まれた時には全く問題ありません。
妊婦さんに余計な心配をかけたくないと思って、私は誤解を招く発言は避けるようにしていますが(その一方で、私はあまりしゃべってくれないと思っている妊婦さんも多いらしい)、平均より大きいか小さいかをもとにして「この赤ちゃん大きいね」という産科の先生もいるようです。
成人女性の身長の平均値は157.7㎝ですが、これを読んでいる女性のあなたはほぼ100% この値より「大きい」か「小さい」かのどっちか、のはずです。(「157.9cmの人は平均より大きい」という考え方に立てば)
仮に女性の身長が160.0㎝だったとして、初対面の人に「大きいほうだねえ」と言われたら、病気がないか心配でしょうか?
産科の先生でいろいろお話してくれる先生は、成人女性の身長が160㎝の身長の人に伝えるのと同じ感覚で「この赤ちゃん、大きいねえ」と言っている。
成人では「大きいねえ」と言われて心配する人はいないと思いますが、胎児が「大きいねえ」と言われると、心配してしまう人が多いと思います。
しかも忙しい先生は「病的に大きい」のか「平均値より上だけど正常範囲」かということまで説明していないことが多い。
以上のように1)頭の形は個人差が大きい。2)医者は患者が思うより気軽に「大きい」と言っている、ことがあり、「大きい」と言われたが心配しなくていいケースがほとんどです。
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実は私も子供の頃は自分の頭が大きいと悩んでました。帽子のサイズが合わなかったり、思春期には女の子にモテないと思い込んでいたり。
もうすぐマラソン大会ですが、いつも使う「かぶりもの」のサイズが私の大きい頭にフィットしません。

ゴール後。
記録が悪すぎてガッカリしている自分
アゴのマジックテープが止まらなかったりして。