院長ブログ
研修医の季節
2019年7月3日|院長ブログ
研修医の季節
毎年5月から6月には新人の研修医が病院の現場に配属される季節。
大学の教育で知識を詰め込んで卒業してくる若い医者たちですが、実技に関しては、ほとんど素人。
この時期夜間の救急を受診する方は要注意。
もし私も知人に「どこの病院がいいの?」と聞かれたとすると、研修医のいる大学病院よりも一般の民間病院へ行くことをお勧めしてしまう。
新人研修医は卒業した時点ではまだ点滴すらまともにできない者も多いです。
一発で点滴を入れることができる「ヒット率」を月別に比較したら、6月が一番低い成功率になると思います。
もちろん、こうした研修医のために、数年先輩の医師が指導します。これが徒弟制みたいなもので力士の世界や、鍛冶職人と
似ていて「長年の経験と勘を伝授する」というスタイルです。
研修医をしながら、現場で経験を重ねて、医者として一人前になっていく、というが医師のキャリア。
今マスコミでは「無給の医師」が最近ニュースで話題になっています。
たしかに若い医者は月給も安い。国立大学の研修医の給料は高卒のサラリーマンの給料より安いし、私立大学にいたってはタダのところもあるらしい。
私は卒業してすぐ大学ではない研修病院でトレーニングを受けたので、ちゃんと給料出ましたが、それでも卒後8年くらいで、ある大学病院の医局に就職したときは実際に月8万円でした。
大病院で無給とか安い給料はずっと続くわけではなく、アルバイトを紹介され、食べていくだけの収入にはなるし、そこで経験を積めば、条件の良い高給の職場に紹介されるので、トータルで見ると決して「損」ではないのです。
しかも他では経験できないような貴重な経験を積むことができます。
お金を払ってもできないような経験。
私も研修医の時代に、胸に包丁が刺さったまま運ばれてきた患者
とか、
肛門にコケシがハマって抜けなくなった同性愛者の男性
とか、ヘアスプレー缶が爆発して、髪の毛がパンチパーマになった美容師とか、
いろいろ他では経験できないものを経験しました。
思い出はプライスレス。