院長ブログ
レントゲンの読影
2019年6月12日|院長ブログ
ラジエーションハウス というドラマがあって、ちょっと見ました。
優秀な放射線技師が主人公です。放射線技師というと、医師の指示した画像が取れるように患者を動かしてくれる資格なのですが、このドラマでは患者の治療をめぐって、医師と違う意見で対立するところもあったりして、(そんなんありか?)と思いながら見てました。
放射線科というとMRI、CT、単純X線、造影検査の写真を専門的な知識で読むのが放射線科の仕事の一つ。
あなたも一度は目にしたことがある胸部X線写真は、素人が見れば、アバラ骨が並んでいるだけですが、専門家の目で見れば、いろいろなものが見えてきます。
肺炎の痕。大動脈の蛇行と石灰化から考えられる動脈硬化。
心臓の肥大から推測される慢性の貧血、骨の透過性から骨粗しょう症が疑える等々、いろんな情報が入っています。
総合病院に勤めていた時代は、いっしょに写真を眺めている若い看護師を
からかってみたことがあります。
胸の術前写真を眺めながら、
「君、大変だよ。肺の真中に孤立性の腫瘤陰影が見えるよ。これってガンじゃないかなあ?」と私。
帝王切開のため入院した人の胸のレントゲン写真、
素人目には、肺の真中に丸くて小さい、直径1センチくらいの腫瘍のような影が見える。
「こりゃ絶対、ガンだよ!」
ギクッとした表情で、写真をのぞきこんでいるナースに、数秒間をおいて
「ウッソー。 乳首が映っているだけだよ~ん。」
(条件によって乳頭の陰が映ることがあるのです)
胸部x線写真は白黒の写真だから変な勘違いをすることもあって面白いです。
私が研修医時代、緊急であわてて撮影した胸部レントゲン写真に何かの影が映りこんでいました。
「これって食道内異物じゃないか!?」
「内視鏡で摘出したほうがよさそうだな」
と仲間の研修医と話し合っているところへ、先輩の医師がきて写真をのぞきこんだ。
「おまえたち、こりゃ、はずし忘れたブラのホックだよ」