院長ブログ
オンライン処方やめました
2023年5月14日|院長ブログ
数年前から話題になっていますが、診察がオンラインで行う「オンライン診療」が広がっています。
私はかつて通常のピルをオンライン診療で処方していましたが、この春やめました。2018年からやっていましたが、5年で辞めました。
私がオンライン診療をしていたことすら知らなかった人が大半だと思います。トータルで20人くらいの患者を診てました。
意外と大変だったのは「オンライン診療をやっている」と宣伝し、患者にアプリをダウンロードしてもらい、診察時間と称する決まった時間に待機してもらう等々の作業が必要だったことです。これを始める前は「診察室に座っていると患者の顔が現れて話をするだけ」で簡単だなあ、と思っていましたが、決してそんなことはありませんでした。
今ピルのオンライン処方などをネットで探すと、検索順位の上のほうに出てくるクリニックがありますが、あれって、それなりの努力をしないと目につくところに表示されないのです。
私はお産を扱う仕事をしているので、オンライン診療の時間に分娩は患者の急変があったりすると、予告なく診察できない状態になるし、夜勤開けでぼーっとしていて忘れたこともあるし、たまにないオンラインの診療の予約をリマインダーにセットするのも結構負担でした。
処方箋は郵送するのも手間でした。私が全部やっていたのですが、ピルのシートをプチプチのシートに巻いて、それを封筒に入れる。一定以上の厚みになると規格外の郵便物になって郵送料が跳ね上がるので、できるだけ薄く包む。宛名を書き、封をして、切手を貼る。外来が終わって人がいなくなった診察室で、夜なべのような仕事で、郵送作業をしていたのでした。
オンライン診療のカルテを提供している会社からは診察しなくても利用料が月5000円くらい徴収されます。
スマホで患者と診察するとしても、画像の質の悪い顔がちょっと確認できるだけで、電話で話をするのとそう変わりません。
私が処方していたので避妊用のピルでした。3か月に一回の処方で、自由診療でもあり、大半が「以前と変わりません」という人です。
面白いと思ったのは、スマホを前に会話している人の背景が、自室である場合以外に、クルマの中の運転席がうつっていたり、会社がうつっていたりして、相手の日常がよくわかることです。
こないだは相手の画面にどっかのスーパーの駐車場が映っていました。
オンライン診療始めたばかりのときは、SNSを初めてやって相手とアプリを通して話ができたような感動があり面白かったのですが、飽きてきたのかもしれません。