院長ブログ
母と子が同じ誕生日になるか
2023年11月3日|院長ブログ
最近「出産予定日が自分(母親)の誕生日と同じ」という人がいました。
10月のお祭りの時には、「お祭りが終わってから出産にしてほしい」というリクエストも聞かれました。
子供ができるのを楽しみにしている笑顔が印象的でしたが、さて、狙って出産できるんだろうか? と産科医の私は考えました。
はっきり言えることは「出産の日は自分の意志でコントロールできない」ことです。
出産予定日前に陣痛が来て産まれる人もいれば、予定日を過ぎる人も。

正規分布ではないようです
自然にお産をする人の割合を週数ごとにプロットすると、図のようになります。40週0日をピークとして非対称の山形の曲線です。
お産をコントロールできるのか。
予定日前の陣痛誘発は陣痛促進剤(子宮を収縮させる薬)を使うことで、何もしないよりは陣痛が来る可能性が高くなります。
しかし「熟していない果実を枝からもぎ取るのといっしょ」で、分娩の準備のできていない人に陣痛を来させるには手間がかかり、余計な介入をすることで発生するお産のリスク(子宮頚管に風船を入れて前期破水・臍帯脱出等)も上昇します。
赤ちゃんはゴールデンウィークがどうとか、お父さんの仕事の都合とかで産まれてくるわけではない。
「陣痛が来るタイミングを知るのは、果物が熟して地面に落ちるのを当てるようなものです」と私はよく言いますが、
連休中も、果実が熟して地面に落ちてくるのをじっと待っています。