院長ブログ
善玉菌 悪玉菌
2023年4月19日|院長ブログ
「寄生虫でダイエット効果がある」と先日のある日のニュースに出ていました。
寄生虫がマウスの腸内細菌を増やして脂肪を燃焼させる効果が実証されたのだとか。
寄生虫が体にいい影響を及ぼすエビデンスは、数十年来いろいろ出ていて、昔言われていたように「寄生虫」→「すべて悪」というわけではないようです。
アトピー性皮膚炎。花粉症。昔からあった病気と思いますか?アトピー性皮膚炎が問題となってきた時期は、寄生虫の駆除が徹底されてきた時代と見事に一致しています。
寄生虫と共存するアジアの森林に暮らす人々を研究してきた藤田紘一郎という寄生虫学の医師は、「アレルギー疾患は寄生虫がなくなったことによる免疫バランスの異常だ」としています。
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腸内細菌を引き合いにだして、産婦人科医の私が患者によく説明するのは「腟の善玉菌・悪玉菌」です。
カンジダ膣炎などの膣炎に悩む人がいますが、腟炎は膣内の善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れて起こるものです。自分の体の免疫力が低下すると、悪玉菌であるカンジダ(真菌)やその他の細菌が増えて、へんなおりものやかゆみの原因となります。
私が海外旅行をよくしていたころ、Lonely Planetのガイドブックシリーズを利用することがありました。世界で最も売れている旅行ガイドブックです。日本国内では「地球の歩き方」が一番売れてましたが、旅先での情報量では英語版のlonely planetが圧倒的でした。
このガイドブックに「旅先でカンジダ膣炎になったら」という項に「ヨーグルトを腟に入れるとよい」と書かれていました。
産婦人科の医者として、この治療法は根拠がないわけではないと思います。
「膣内の善玉菌は乳酸菌」→「ヨーグルトは乳酸菌」→「膣の中に乳酸菌があればよい」という理屈です。
ただし、乳酸菌にもいろいろあって、腟の中にいるのはデーデルライン桿菌と呼ばれる種類で、ヨーグルトに含まれている乳酸菌とは種類が違います。おそらく定着しない。膣の中にヨーグルト入れたとして、害はありませんが、効くかどうか私にはわかりません。
私が医者になりたての頃、腟に入れるための乳酸菌製剤が処方薬リストにありましたが、その後見ないので、たぶん効果ななく販売中止になったと思います。
カビや微生物の完全除去は難しい。自分の免疫力を保ちつつ、共存していくしかないでしょう。
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去年の夏の話ですが、知人からいただいたカステラをしばらく(7日くらい)時間経ってから食べました。
抹茶のカステラだと思って食べた後、外の箱をみたら、普通のカステラでした。
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カビがびっしり生えたカステラを、抹茶と勘違いして、おいしく食べてしまいました。