院長ブログ
お持ち帰り
2022年10月23日|院長ブログ
「持って帰りますか、こちらで処分しますか?」
と聞かれて、困ったそうです。
親戚が飼っているペットの犬ですが、獣医で犬歯の抜歯をしたのだそうです。もらって帰っても、どうしようもないので処分をお願いしたそうです。
自分の肉体の一部や、家族の体の一部は、大事に持って帰りたい。その一方で、抜歯をした獣医にとっては、抜いた歯はタダのゴミ。
ある人には大事に見えるものでも、別の人からすればただのゴミ、という事例よくあります。
「こんなもの要らないから、捨てておきましょうか」と、うかつに言ってはいけないもの、仕事の上で遭遇します。
流産で子宮の中から出てきたもの(初期のものに限る。12週以降は埋葬します)患者さんの思いはわが子でも、子宮からの廃棄物です。
外陰部のイボ。
帝王切開の傷の閉鎖に使ったホチキス(ステープラー)の金具(最近は埋没縫合するので金属は使わなくなりましたが)。
などもそうです。
私から見ると、医療廃棄物の扱いで捨てても問題なさそうなものでも、人によっては貴重な宝に見えると思います。
お産の時に縫った糸を退院の時に抜いたら、「持って帰りたい」という人がいました。
溶ける糸なので時間が経てば分解されてしまいますが、「どうぞ」と渡しました。
私事ですが、私が小学校から中学に上がる時は、中学生は全員ボウズ頭だったので、「断髪式」をやった床屋で自分の髪の毛をもらって帰りました。
以前、自分の昔の引き出しを整理していたら、スキーで爪がはがれた時の爪、外れてしまった虫歯の詰め物など、大事にしまっておいたもの多数出てきました。
自分には宝物、他人から見るとゴミ。