院長ブログ
変な台風
2018年8月8日|院長ブログ
夏休みで山登りのシーズンですね。
西に向かう台風、ゆっくりしか進まない台風、変な台風が多いですね。
さて私が高校生の(磐田南高校)の頃の話です。
山岳部に所属していた私は夏山登山で仲間20人と南アルプスに一週間の山行をしていました。
赤石岳 聖岳など3000メートル級の山々をめぐるルートでかなり奥深い場所です。
山の高いところを移動中に台風が来て、被害を避けようと下山するルートを変更中、
別の台風にまた襲われるという、稀な経験をしました。ダブル台風です。
台風は一度過ぎれば天候回復するものですが、この時は一難去ってまた一難で、すぐに別の台風に襲われ、ひたすら雨の中を歩き続ける山行になりました。
台風の中、連日、テント設営から食事の支度まで屋外でしていたので、冷えて、濡れていて、疲れ切っていたのでしょう。
崖の岩場で、私のすぐ後ろを歩いていた同級生が滑落事故を起こしました。私も一部始終を見ていたのですが、重いリュックサックを背負った同級生が、人形のようになすすべもなく崖を転げ落ちていくのを、ぼう然と見ているしかありませんでした。
歩いて40分くらいのところにある山小屋に救助を求め、滑落した彼は重症を負い、ヘリコプターで搬送される事態となりました。

雨の登山の写真
ふもとの山小屋にたどり着いた私たちも、下山ルートの道が土砂崩れで封鎖されてしまい
数日間山小屋のある場所に閉じ込められてしまいました。
地元からの救援のめどが立たない中、少ない残った食料を分け合って食いつなぐことにしました。
退路を断たれ、食料がいつまでもつかわからず、心細い時間が続きました。
が数日後、幸い災害救助法が適用されて、私たち登山者も自衛隊のヘリコプターで救出されることになりました。
当時高校生だった私は「すげー、自衛隊のヘリに乗せてもらえるなんて、初めてだよー」
と興奮してしゃべっていたのですが、顧問の先生に
「バカヤロー、お前たちのために父兄も心配して救援活動始めるところだったんだぞ、どんなに心配させたと思ってるんだ!」
と叱られました。この時ほど怒った先生を見たことありませんでした。
先生もよっぽど責任を感じていたのだ、はしゃいでいた自分たちも軽率だったなと、今にして思います。
自然をなめてはいけないと思いました。
私は現在、人の出産にかかわる仕事をしていますが、お産も自然現象で予想外のことが起こり得ます。
なめてはいけないと思っています。