院長ブログ
センチュウ(線虫)
2022年12月8日|院長ブログ
おしっこの匂いでガンがわかる!?
微生物である線虫(センチュウ)はガン患者の匂いをかぎ分けることができて、健康な人の尿の匂いには寄っていくが、ガンの患者の尿からは逃げるそうです。その性質を利用して、最近健康診断に使われることになったとかニュースがありました。
線虫は体長が1㎜に満たない生き物ですが、その一種のC.elegansは嗅覚受容体が犬の1.2倍もあります。これをガンの診断に使われる血液中の物質「腫瘍マーカー」と比較しても、見劣りしない感度が報告されています。
線虫の飼育が簡単で低コストのため、健康診断などでのがんの診断に実用化が近いと言われています。
線虫は遺伝情報が簡単で、多細胞生物では世界で初めて1998年にDNAが解読された生き物です。このため遺伝子の研究などもやりやすい。
長寿遺伝子と呼ばれるサーチュイン遺伝子も線虫が持っていることが知られていて、おなかを減らした(飢餓)状態にすることで寿命が延びるのではないかとここ10年くらい論争が続いています。
「長生きするには腹八分」という昔からの言い伝えがありますが、これを立証するエビデンスではないかと言われています。
いろいろと新しい知見をもたらしてくれる線虫ですが、人体にはやっかいもの。
1980年頃までは日本もフィラリア症(別名「象皮病」)がみられていました。西郷さんのキンタマは腫れていた、という史実があります。当時鹿児島や奄美に蔓延していて下半身のリンパ浮腫を引き起こすフィラリア症にかかっていた可能性があります。これも線虫の寄生によるものです。
線虫について私が一番線虫のことを思い出すのは、朝ごはんの時。
おかずの釜揚げシラスをみると、線虫に見えてしまいます。
動いてないからいいけど。