院長ブログ
1月1日が誕生日
2022年1月9日|院長ブログ
年が明けて1週間。
今年もいろいろ新しいことに出会えるでしょうか。
「1月1日が誕生日の人が、アフガニスタンでは圧倒的に多い」というニュースがありました。
今まで公的な出生記録のなかったアフガニスタンでは、自分の生まれた日がいつなのか知らない人が大勢いました。
しかし、近年アフガンにもインターネット、facebookなどのSNSが普及してきて、最初に自分のアカウントを登録するのに生年月日が必要とされることが多くなったのです。
「誕生日? よくわからないけど 1月1日にしておこう」
ということで勝手に誕生日を1月1日にしてしまう人が多い。
「アフガン人全員が1月1日生まれのような気がする」とインタビューを受けた人は答えていました。
私も2000年代初頭にアフガニスタンに1年住んでいたことがあります。人が生まれて、役所に行って出生届を出すこと自体、結構いい加減なことがわかりました。出生届を出さなくても生活に影響しないのです。
人の年齢とか誕生日、知ってて当たり前のような気が、日本人はするかもしれませんが、アフガン人とつきあってみると誕生日なんて知らなくても全然困らないのです。
私がアフガンで現地スタッフの就職面接をした時、生年月日を含めて身分証明になるものを持っていないので、本人申告を信じるしかないのですが、
「私は30歳、助産師の仕事を20年以上やってきました」と何のためらいもなく言うので、こちらも
「あんた10歳の時から助産師の仕事しているのかよ」
と突っ込むのを忘れてしまうほどでした。
現地の人の患者の年齢を聞いても、「私? 年齢? 25歳ということにしといてよ」で済んでしまうので、アンケート結果が本当にアテにならないのです。
自分の年をカウントするなんてどうでもいいことでしょ?
というと日本では信じられないかもしれませんが、間違ってないかもしれない気がします。
*
私は90年代にインドネシアの離島で住民の年齢構成を調べる調査をしたことがあります。
住民の年齢、性別が調査の基本になるのです年齢が本当にあてにならないのです。
住民台帳はあるらしいのですが実際はあまり役に立たない。だから年齢は自己申告となります。
私は調査員となって山村の家々を回り、
「あなたは、おいくつですか?」
と尋ねます。
バナナの葉っぱで手を拭きながら出てきた、農作業中のオヤジは
「うーん、5,6年くらい前に30歳になったはずだからなあ・・・」
といい加減な答えをするのです。
「正確にはおいくつですか」
「そんなのわかんねえよ」
自然に囲まれて暮らしていると、自分の年齢がいくつかなんてどうでもいいのです。
「じゃあ、35歳ということにしときますよ」
「まあ、そこらへんにしといてくれよ」
という具合にアンケート調査が進んでしまうのです。
「まあ、そこらへんかな」
という人が沢山いるせいで本来はきれいな「人口ピラミッド」の図形を描くはずが
30歳、40歳とか節目の所にばかり数が集中してしまい、のこぎりの歯のような人口ピラミッドができあがってしまうのです。
どうみても、60歳代にしか見えない老人に「ワシは今年で93歳になるけど元気じゃよ」と言われてみたり、
「私は21歳よ」と言われては見たが、明らかに3人の子供がいて、30過ぎにしか見えないオバサンがいたり、
本当にアテになりませんでした。