院長ブログ
アウトドアの仕事
2020年5月17日|院長ブログ
5月晴れのいい天気でしたね。
私は、もともと外で活動するのが大好きです。
昔、ある年の5月、春のいい天気の時期、土方のおっちゃんに交じって工事現場で日雇い労働者をやったことがあります。
大阪の西成区に日雇い労働者の集まっている地域があります。いわゆる「ドヤ街」です。日中訪れると、酒をのんだ酔っぱらいのおっちゃんが路上をウロウロしていて、なんとなく危険な雰囲気のエリアなのですが、関西一円に労働者を送り出すセンターでもあります。
「日本の労働衛生の実情を海外の医学生に見せよう」というテーマで海外から訪問してきた外国人の医学生の案内ツアーを、私が企画したのですが、現場を実際どのようなものか見たことがなかったので、好奇心もあり自分で体験してみました。
朝の4時に、マイクロバスが人集めのため、近畿地方の工事現場からここに集まってくるのです。
バスのフロントガラスには職種と労働条件、賃金が書いてあって、労働者は気に入った条件のクルマに乗り込む。
毎日屋外で力仕事をしている人々の肌は浅黒く、腕のまわりに筋肉がもりもりついている。
ひょろっと背の高くめがねをかけた、やせ型色白の医学生であるぼくは明らかに場違いでしたが 一台のバスに乗り込んでみました。
定員が一杯になるとマイクロバスはまず飯場に向かい、 そこでどんぶり飯をたらふく食べさせてもらった後で、工事現場へと出かけるのです。
現場で私はスコップ持たされて、指示されたとおりに、一日中土を掘りました。
慣れないスコップの扱いで筋肉痛は残りましたが、賃金は悪くなかったです(当時1日1万2千円くらい)。
日ごろ、この職種の人々(つまり現場で汗を流している人たち)に接する機会がないので 気が付かなかったのですが、彼らは自然の移り変わりに親しい。
いっしょに仕事したおっちゃんは、休憩の時にぼんやりと寝そべってタバコをすいながら青空を見上げる。
どこかで鳥の声。 「あれはホオジロやね、こんなところでめずらしい、 あっちはシジュウカラ。いまごろヒナかえすんや。」
タケノコ掘りをしているとこをトラックで通りかかると 「ちょっと見ていこや。にいちゃん、タケノコの堀り方は知っとおか?」 しばしトラックを路肩に寄せ、ぼーっと旬の作物が取れるのを眺めているのです。
風のにおい。季節の移ろい。季節の花。
屋外で仕事をしているおっちゃんたちは、私が思っていた以上に、優しい人たちで、季節の移ろいを敏感に肌で感じ取っていました。
天気のいい日になると
(お前こんなところでデスクワークしていて、いいのか?)
心の声が、外に行け、外に行け・・・とささやきます。