院長ブログ
飲む点滴 甘酒
2024年11月17日|院長ブログ
甘酒の売れ行きが急増しているとか。
「甘酒は飲む点滴です」と以前テレビでどこかの医者が勧めていました。
腸内環境を整えるオリゴ糖などの糖分に加えにビタミンB類が豊富で、コウジに含まれるコウジ酸は肌の美白に効果があるといわれています。
甘酒が滋養に満ちた自然食品であることは間違いありません。
ただ「飲む点滴」と聞くと、私は違和感を感じます。
水分補給をするなら点滴よりは経口摂取が望ましいです(経口摂取ができない悪阻は別)
個人のクリニックでは「風邪なので点滴してください」「体がだるいので点滴を」という患者さんも来ます。
基本的に不必要な点滴はしない方針ですが、一方で点滴すれば保険診療として収入がありますので、しつこく点滴を希望してくる人には「はいはい、点滴ですね」とか言って、患者の意向に逆らわない時もあります。
本当は(点滴なんて必要ないのに)と思っていますが点滴することで治った気になる人も多い。
点滴することの弊害としては、1)皮膚に針を刺すことで稀だが神経損傷のリスクがある。
2)過剰な輸液をした場合に肺に水が溜まるなど体液バランスが崩れる、などがあります。
では飲み物を点滴にして入れたらどうなるでしょうか。
甘酒のような糖分の高い液体を血管の中に入れたとしたら、浸透圧が高すぎて、体液バランスに支障が出ます。
ポカリスエットも、点滴の内容と比べると、糖分はすごく多い。やったことありませんが、細い血管だと炎症をおこすでしょう。
私は実際に点滴を飲んだことがあります(使用途中で廃棄することになったものをちょっと飲んでみた)が、甘酒ほどおいしくはありませんでした。