院長ブログ
バックミラーがあったら
2020年2月26日|院長ブログ
自動車でサイドミラーのない車が市販されるようになりました。
室内のモニターで後方を確認できれば、バックミラーはつけなくてもよい、との国の保安基準の変更方針。
雨でみえにくいのが改善されたり、クルマのデザイン性が高まるメリットがあるそうです。
(バックミラーがあったらなあ・・・)
仕事中の自分の頭にバックミラーがついていたらいいのにと思うこと、よくあります。
あの一流スナイパーのゴルゴ13(劇画の主人公)だって、壁を背にして立つのが習慣で、背後に人がいるのを極端にきらいます。
「後ろに立つなと言っただろう!」と言って、彼の背後にうっかり回ってしまった男にパンチをくらわせていましたね。
診察室で患者の顔見ながら、自分の背後に意識があっても顔を向けられない状況があります。
妊婦健診の仕事をしていると、妊婦さんに夫が同伴してくることがあります。
同伴の男性はどんな人か、まったく未知数。
私は妊婦さんについては、どういう人なのか、それまでの経過で人柄を知り、コミュニケーションがとれますが、
健診を受ける奥さんを黙ってみている男性については、私は非常に不安を感じる。
男性は(女性と比べて)虚勢を張る人も多いので、腕組みしている人もいる。(それは不満を意味するボディランゲージである)
通常、妊婦健診では、女性の腹部を触って、子宮の大きさや胎児の位置を確認しますが、
自分以外の男性(つまり私)が、最愛の妻の腹部を素手で触っていることについて快く思わない男もいるんじゃないか、
胎児の状態やエコーの画面に集中しているあまり
「おれの奥さんに何すんだ、バカヤロー」
と後ろから殴られないとも限らない。
実際そんな目にあったことはありませんが、
私がエコーの画面を凝視していると、私のすぐ背後で息づかいが聞こえたり、
後方の音が遮断されることから後ろ10センチくらいの所に立っている気配を感じます。
「後ろに立つなと言っただろう!」と言いたいくらい、私は他人が、自分の背後に立つのが嫌いなのです。
開業して間もないころに
「先生は何もしゃべってくれないね、大丈夫とか、問題があるとか、なにか言うことあるだろう!」
と、妊婦健診に同伴してきた男性に怒った口調で言われたことがあります。
筋骨たくましい、日焼けした大男で、濃いサングラスをして、腕組みをしておりました。
私は、伝えるべきことを選んで、話をするタイプですが、
たしかに、その時の健診では、エコーをしている間、私はほとんどしゃべらなかった。
なので、その男性には、どうして寡黙だったか、正直に告白しました。
「だって 怖いんだよ。あなたみたいな人が、検査の間、息がかかるくらいすぐ後ろに立っていると、気になっちゃって検査にならないんです。」
(なぜこの男は、自分の背後に立つんだ?、こんなに接近して・・・腕組んでたぞ、怒っているのかな・・・)
そんなことばかり頭の中をめぐってしまい、まったく検査になりませんでした。
検査に邪魔だったら、「あんた邪魔だから出て行ってくれ」、と言ってもよかったですが・・・
自分の頭にバックミラーがついていて、後ろにいる人の顔色がわかればいいのにと思う今日この頃です。