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院長ブログ

ヨルダン人の医者

左がヨルダン人の軍医

左がヨルダン人の軍医 右は37歳の私

テレビや新聞で中東の話が時々出てきますね。

私はヨルダン人の医者を思い出します。

昔の話ですが、私はアフガニスタンのNGOで仕事をしていたことがあります。

アフガニスタンは長い戦乱の歴史があり、医療も不十分です。

病気になっても、行ける病院がない。ということで私は病院を作るお手伝いをしていたことがあります。日本で「当たり前」と思われるものが「ない」ので、いきなり病院作ると言っても簡単にいきません。

人を集めて、給料払って、土地を借りて、診療所立てて、というところから始まります。

治安が悪い、電気や水もちゃんと来ない、もちろん酸素の配管もない、手術の道具もない、とないないづくしです。

ほぼゼロから、クリニックを作って、地元の人で運営できる状態にして、譲渡したのが私の一年間のプロジェクトでしたが、そんな中で、当時ヨルダンから軍隊が救援活動に入っていて、婦人科の軍医が指導に来ていました。市内の病院で子宮筋腫と卵巣腫瘍の手術をやっていたので見学する機会がありました。

 

このヨルダン人の婦人科医は非常に良心的で、教育熱心な男性でした。

「私はここでこの土地の人を教えることができて、ハッピーだ」

と言い

人を助けたい、という気持ちは世界共通なんだ。 なあブラザー(私のこと)、私の言っていることは分かるだろ?」

手術中にそんなことをつぶやきながら、子宮筋腫の核出手術を行い、卵巣癌かもしれない巨大な 卵巣腫瘍を摘出していました。

麻酔の方法がケタラールを使った、かなり原始的な麻酔で、逆に患者の状態もちゃんとモニターされていないような場所でも使うことができます。

私が日本で見たとしたら逃げ出したくなるような厳しい条件の 下で てきぱきと指図をして、周りのスタッフを動かして手術をしていました。

「出血を起こさないように縫合するコツはねえ・・・」

などとべらべらしゃべりながら、なんと37個の子宮筋腫の核出の手術を行いました。

こんな症例は日本では見たことありません。

日本人の私から言わせると、手術は相当荒っぽいですが、要点は得ています。

「いてっ!メスを持ったまま、臓器を持たないようにって言っただろっ!」

と彼は叱っていたが、手術中の針刺し事故などしょっちゅうでした。

「痛っ!」

私も手術中に、彼の動かす針で指を刺してしまいました。

手術を受けた患者はおそらく感染症の術前検査などやっていないはず。どんな病原体がいるかもわからないので

私が大あわてで指の血を絞り出していると、

「何やってんの?面白ーい」という感じで、周りで見学の看護師がケラケラ笑いました。

針刺しが危ないってこと気が付けよ!)と怒りで頭が一瞬クラクラしましたが、じっとこらえました。

こんな「ないないづくし」の厳しい環境で手術を教えているヨルダンの婦人科医の態度に頭の下がる思いでした。

子宮筋腫の核出手術をするのに、ピトレシンという薬剤を使うかどうかで、彼とは大議論になりましたが、

 

いまではいい思い出です。

 

人を思う気持ちに宗教や国境はありません

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